9/24土に早稲田大学で行われた「XP祭り」の私的まとめです。XP祭りは完全に有志駆動で、好きな人が、好きな風にあつまって、好きに発表する、年に一度のお祭りです。今年はぼくは発表しませんが、牛尾さんの基調講演と、永和システムマネジメントの新人教育のセッションを中心に感想とともにお伝えします。
仙人たちの漫才
恒例の小井土さんと福井さんによるアジャイル漫才です。XPの概要といいながら、動くコードを書くことの大切さやフロー(流れ化)について語っていました。
牛尾さんの「XPが日本のソフトウェア開発」
MSのVSTSの開発チームを見に行った話から。DevOps の形として L-team(Live=ライブサイトのメンテ) と F-team(Feature=新機能開発)の2チームに分けて、それぞれ長く滞在している人を交換している。というのが新しかったけれど、ほとんど他のプラクティスは「知っているもの」であり、ペアプロも含めて愚直にやっている。
「ウォーターフォール対アジャイル、そんな話は10年前。」
牛尾さんは日本の現状をほんとうに心配しているのだなぁ。海外を見に行ってDevOpsの高速デプロイ(10 deploys per day)を見たりして、「竹槍」と「戦闘機」くらいの違いだと。
また、Hofstede の文化ディメンションの話で、なぜAgileが日本に導入がむずかしいか、それは文化の違いだと。
(牛尾さんブログより:http://simplearchitect.hatenablog.com/entry/2016/05/30/080421)
なので「文化をインストール」する、というのが日本で必要なんだということです。
さてさて、ぼくはこの点に関しては違う意見を持っていて、「文化」はインストールできないものだと思っています(「技術」やさらに「ビジネス」に比べても慣性モーメントが大きい)。だから、やり方は二つで、
- 逆に、日本人が海外へ飛び出してやる。
- もしくは、日本の文化にあうやり方でアジャイルを使う
だと思う。この話は、「リーン開発の本質」のMary Poppendieckにも登場しています。平鍋訳による解説のスライドを紹介します(24 page目くらいから)。以下、この中の数ページだけハイライトです。日本文化がいかに特殊かが分かる資料になっています。アジャイル宣言の「変化に対応」と「不確実性回避と長期指向」、「個人と対話」と「個人主義」を対応づけています。
ぼくは、日本の良さを生かした、アジャイルが作りたい、と思っています。(あるいは、もう少し若かったら海外に行ってしまうのもありだなぁ。)
牛尾さんは、他にも、社員の扱い方、雇用の流動性、などなど、海外と日本の違いをたくさん語ってくれました。最後に、日本のよさとして、物事のすすめかた、人との接し方、美的感覚などを挙げていたのもよかったです。
※追記:牛尾さんの資料が公開されました。
お昼の野良LT
侍れっどが、どんどん進化するふりかえり(KPTATAH)について、てらひでさんが、ToCとふりかえりについて。とてもXP祭りらしい、自分の経験を語るLTでした。
俺たちの新人教育(永和システムマネジメント)
永和のアジャイル事業部からの発表です。伊藤(@koic)さんと 小林(@junk0612 )さん。小林さんは新入社員で、鷲崎研究室出身なのです!(なんてXP祭り的な。。。)伊藤さんが先生として、小林さんが新入社員としてかかわった永和のアジャイル事業部的な教育の実話です。
支給する書籍、着席準備
新入社員の入社前の準備。。。書籍を渡します。
- 達人プログラマー
- エクストリームプログラミング
- リーダブルコード(持っていた!意識高い!)
- Webを支える技術
- SQLドリル
必須図書です。着席準備(永和では「着席」という期間がある)として、Railsチュートリアルをやる。Javaをやっていたけど「Rubyって楽だなぁ。。public static void main(String[] args) … って書かなくていい。public/private 全部全部書かなくていいい。」と思ったそうです。dotfiles(.emacs .profile などの個人の設定ファイル)をGitHub管理することで学習状況を共有する、というのは知らなかったなぁ。
現場開始
実際にお客さんのいる開発現場。お手本コードのコードリード。見積もりへの参加したり、Pull Requestレビュー。自分のコードに100のコメントがついたことも。。
これから
これから、RubyKaigi などの大舞台に登壇するネタができるといい。顧客との対話から運用までできるといい。永和卒業生の安井さんから、「登壇はいつ?」という質問がありました。。。。2年以内に、RubyKaigi に登壇するそうです(書いちゃった)。
ぼくも社長なのに(事業部長の木下さんと一緒に)セッションにオーディエンス参加しました!とても落ち着いてゆったりとした雰囲気で話してくれて、よかった。技術が好きなこと、それを仕事にしている意味、徐々に現場に入っていく様子がアットホームな雰囲気で伝えてくれてくれました。小林さん、グッジョブ!そして、伊藤浩さんの新人に対する「愛」を感じられた。
(※追記:スライドが公開されました)
最後に
いつもながら、町内会的な雰囲気で、楽しみました。運営していただいたみなさんありがとうございました。
今日XP祭りに初めて来たかた、このブログを読んで、日本でのXPについてもっと歴史を知りたい方は、こちらをどうぞ(日本のアジャイル10年、人々とコミュニティの私的物語)。とても私的なのですが、今日の運営をしてくれているみなさんとの物語です。今日会場で販売していた、Altimate Agile Stories に書いたものです。