Modern Agileとは
初期のXP(Extreme Programming)賛同者、Joshua Kerievsky が世界最大のアジャイルカンファレンスである Agile2016 の基調講演において、モダンアジャイルというコンセプトを披露しました(→InfoQ記事)。
2001年に宣言されたアジャイルマニフェストが、15年を経ましたが、今の時点でアジャイルを再度考えてみよう、という命題です。http://modernagile.org より(超訳)…
アジャイル宣言から10年、イノベーティブな企業、ソフトウェアの思想的リーダーたち、アジャイルとリーンの開拓者たちは、よりシンプルで、より強く、より合理化されたアジャイルを模索してきた。この「モダンアプローチ」は、「実験的な成果の創出」と、「優れたカルチャーの育成」に焦点をあてている。今日、伝統的なアジャイル定義をバイパスして、モダンアプローチを語ることには、十分意味があるだろう。
モダンアジャイルは、4つの原則で定義される。
- Make people awesome
- Make safety a prerequisite
- Experiment and learn rapidly
- Deliver value continuously
Google, Amazon, AirBnB, Etsy といった企業が、この4つの原理のよい見本だ。..
Modern Agileを日本語に訳そう
4つの原理を日本語にしました。ぼくはJoshから直接メールをもらい、日本語訳を頼まれて訳をしたのですが、これに興味を持って日本語に訳そうとしている人たちを、同時期にネットで3人発見しました。角征 典さん、今給黎 隆さん、伊藤宏幸さんです。短い4原則の訳ですが、せっかくなので4名で日本語訳を合意したいな、と考え、facebook groupで短いディスカッションの後、生まれたのがこの4つの日本語です。
- 人々を最高に輝かせる
- 安全を必須条件にする
- 高速に実験&学習する
- 継続的に価値を届ける
(角さんの提案で結果的にぴったり同じ長さの日本語になりました。)
せっかくなので、このコンセプトについてのfacebook groupとして公開します。現代風のアジャイルの再定義に興味がある方、ぜひ参加してください。
モダンアジャイル日本語コミュニティ(facebook group)
https://www.facebook.com/groups/modernagilejp/
これまでの記録
- 角征 典さんがGitHubで日本語版のpull requestを送る。
- 今給黎 隆さんのキースライドの訳資料(slideshare)
- 伊藤宏幸さんのAgile2016資料(slideshare p.41、これが今もっとも詳しい解説か?)
「安全」ということ
ここで出てくる「安全」という考え方について。Joshは以前からこの安全というコンセプトにこだわっていて、日本語のAnzenから取った、Anzeneering (安全エンジニアリング)という造語も作っています。
https://www.industriallogic.com/blog/anzeneering/
Joshua Kerievskyについて
ぼくが最初に知ったのは「Design Patternカード」というカード、そしてその後の「XPカード」というカードキットの作者としてです。
XPをよりビジネスに、という方向性を早くに打ち出して、「テスト駆動経営」というコンセプトも出した。
また、書籍としては、パターン思考リファクタリング。
日本にも何度か来日し、AsianPLoPに参加して、アレグザンダーのパターンについて熱く話していた記憶もあります。
また、ぼくが一番好きなのは、彼がアレグザンダーのパターン形式で書いた、勉強会のパターンです。熱意のあるエンジニアが集まって勉強会をする様子を観察し、よい勉強会をつくるには、という視点で書かれたパターン言語です。(1999年)
Knowledge Hydrant: A Pattern Language for Study Groups
このパターンは、アレグザンダーへの愛に溢れていて、手書きの絵や写真がたくさん含まれた、よいパターン言語です。その中には、テーブルや椅子の配置などの工夫も含まれます。(Intimate Circle「親密なサークル」より)
近いうちに、Joshua をまた日本に呼びたいと思っています!
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