IoT Hackathon 2015

2015/11/18,19,20にET2015で行われた、組込みIoTハッカソンに、永和システムマネジメントグループとして参加しました(チーム「ずぼがに」です、ずぼがには福井の名物、蟹の1種)。

メンバーは、

このブログでは、ちょっと長いですが、この開発ストーリを描いてみたいと思います。

組込みIoTハッカソンとは?

スライド01

IoTデバイスとCloudを使ってサービスを開発しよう!というハッカソンです。当日選ばれるテーマから、3日間で開発、デモを行います。

今回のテーマは、「二世帯住宅」。ペルソナに関する記述を渡され、そこからアイディアを出し合って、魅力的なサービスを生み出します。

テーマ設定とHTAC分析

ぼくらのチームは、中垣内くんのアイディアで、「風邪を引かない家」というテーマを設定しました。家全体で風邪を引かないように家族を見守るサービスを提供する、そんな家です。

まず行ったのは、ペルソナ記述を読んでそこに含まれる「関心事(Concern)」を見つけ出すことです。ここでは、HTACと呼ばれる分析手法を用いました。

  • Human … 人(ヒト)を緑の付箋紙で書きだす
  • Thing … 物(モノ)を青の付箋紙で書きだす
  • Activity … 活動を黄色の付箋紙で書き出す
  • Concern … 関心事をピンクの付箋紙で書き出す

HTACに関しては、詳しい記述がここにあります。(IoTサービス発見手法、HTAC

今回は、子供の手洗いやうがい、といった活動の裏に見える、「風邪を引かない」、「引かせたくない」、「健康を見守りたい」という関心事です。

スライド05

文献、論文を調査すると、最近、温度・湿度と風邪ウイルスの活動の関係がかなり相関が強いことが分かりました。

il_01ail_01b

(出典:http://www.selfdoctor.net/q_and_a/2001_12/kaze/01.html)

そこで、温度と湿度をセンスしてパネルに部屋の状態を示し、風邪が引きやすい状態になると、警告やモバイル端末に通知するシステムを開発しました。STマイクロのボード、温度・湿度センサー、Azure のサービスを結びつけて、プロトタイプを実現しました。

事業性をどう示す?

事業性や合目的性が審査の対象になるため、ビジネスモデルの開発にあたっては、「Business Model Canvas」を記述するとともに、福井県大野市の二世帯住宅「平鍋家」に当日朝に電話でインタビュー。重要なビジネスパートナーとなる大手住宅メーカーとして「ミサワホーム」の菊地さんにET2015会場にて直接ビジネスモデルをインタビューしました。

実は僕自身の家がミサワホームの住宅で、しかも隣に両親の家があって二世帯住宅なんです。この企画にあたっては、この点を活かして母親、妻、菊地さんにインタビュー。

 

(朝、電話で母親にインタビューしていたら、上記のようなコメントが出てきて、泣いてしまいました。。。)

新しい収益モデルの必要性

ビジネスモデルキャンバスはこんな感じです。右下の収益として「データをサービス事業者に販売」というのが出てきます。Webにおける「広告モデル」と同様に、組込みIoTでも「第三者からお金を貰う」モデルが必須なのではないかと考えています。大量のデータが取得できるため、この例だと、医療のコンサルティング、薬局、などにデータを買ってもらうのです。広告代理店、があるように、データ代理店、があってそこがデータを買ってくれるような形態になるのではないか、と推察しています。

スライド15

福井モデル

61wxy1cbpwl-_sx338_bo1204203200_ところで、福井には二世帯が多いのです。ここも、チームずぼがに、が福井出身のチームなのでアピールしたところ。共働き率も高いため、一世帯あたりの収入は全国一です。つまり、子供をおじいちゃん、おばあちゃんに見てもらいながら夫婦で働く家庭が多いのです。これは、子供が日常的に両親以外の年寄りと会話することで、情緒豊かに育つ、安心して家にいられる、という、都会に比べて大きなメリットがあります。おじいちゃん、おばあちゃんにとっても、生活に活気がでますし、食事もみんなでおいしく食べられます。

その名も「福井モデル」という名前の本がありますので、ぜひ読んでみてください。福井は日本の北欧のようなモデルなんです。

(永和システムマネジメントグループでは、福井で住みたい方のUターン、Iターン転職を受け入れていますし、実際にはUターンだけでなく、Iターンもかなり多いのです!→こちらから。)

実装

3日間のほとんどは実装です。温度湿度センサー、STマイクロのボード、Azureのサービス、これらを組み合わせて一周回るようになりました。SysMLで描いたシステムの構成と、センサーから通知までの構造と振舞いです。

図は、もちろん、astah* SysML を使って描いています。astahでは画像を図に貼れるので、写真やAzureのサービスのアイコンを使って分かりやすく描いています。

実際のコードは、中垣内くん、田口くんのがんばりで、二日目にはサービスが動くようになりました。コードは以下のリポジトリにあります。(プライベートリポジトリを、以下に公開します。※11/24 EDIT)

https://github.com/kenjihiranabe/IoT-Hackathon-Zubogani-2015

詳細についてはまたの機会に、中垣内くんか田口くんから情報を公開しようと思います。

デモ

会場では、デモを動かす時間がなかったのですが、事前に取っておいた1分間のデモの動画がこれです。

結果発表

2人発表
デモを解説中の中垣内くん

発表では、時間のないチームが続出。おお荒れの発表会になりました。

結果は惜しくも、「優秀賞」。最優秀賞とは1点の違いだったとのことです。検討したチームメンバーのみなさん、ありがとう!また来年もがんばろうね。

D-Caseによる議論の可視化

このハッカソンの1つの特徴は、

  • 「合目的性(ペルソナを満足されられるか)」
  • 「ビジネス性(事業や収支の計画)」
  • 「イノベーティブ性」
  • 「プレゼンテーション」

の4つのポイントで評価されることです。実装として作るだけではなく、ビジネスやユーザー視点でそれを「語る」ことが求められます。また、それぞれのテーマの訴求点をD-Case(後述)を使って可視化することが求められました。

最後に、今回のハッカソン、チーム「ずぼがに」のD-Caseを示します。D-Caseでは最上部のゴールがどのような戦略でサブゴールに分解され、それらが、最下部の「証拠文書」に繋がっているか、をグラフにします。これを見ると、私たちのチームは、

  • 「ユーザ視点」をHTAC分析によって獲得し、
  • ビジネスモデルキャンバス、と、インタビューによってビジネス性が裏打ちされ、
  • 風邪と温度湿度、の関係の発見が着眼点となっている

ことがはっきりと見て取れると思います。この図は、astah GSN によって描かれています。

スライド02

さて、みなさんもぜひ、来年は組込みIoTハッカソンに参加してみませんか?会期中は、チーム間での交流も芽生え、とても楽しい機会となりました。では来年まで。

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