8/26 のエンタープライズアジャイル勉強会に、KDDI川上さんが「大企業でのアジャイル」と題して話されました。KDDIでは企画側と開発側に組織が分かれており、開発側は開発ベンダーに開発を発注して開発を行います。この形態にアジャイル開発を持ち込んだときの War Story を結晶化して、いくつかのプラクティスを上げています。
これまで、開発を回す側のアジャイルプラクティスは良く知られていますが、開発を発注する側のプラクティスが今回のテーマです。この視点で語られたことは日本ではほとんどありません。
発注側のアジャイルプラクティスを順に紹介します。
請負でなく準委任で
一体感を作り、目的を常に意識するために。例として、原子力発電所もんじゅのナトリウム漏れの話を引いていました。漏れを起こした原因となった温度計を作っている人は、それが、ナトリウムの温度を測るために使われることを知らなかった、ということです。自分の手元の仕事が「どいういう風に使われるか」を知らないで作ることがないように。言われたから作りました、とならないように。
マルチベンダ
なんでも出来る人(十得ナイフ)を集めるのは難しい。一つのことに秀でた人やベンダーを集めて(ノミとカンナと…)分担してもらう方がよい。
インセプションデッキ
山に登りましょう!といっても、ハイキングなのか、南アルプスなのかで全然違う。ある程度具体的にビジョンを共有しましょう。
モデリング
「長崎や佐賀の方、この会場にいますか?」
天ぷら盛合せ、というものを頼んだ時に、全く違うものが出てくる可能性があります。想定を合わせる、用語辞書的にモデリングは使えます。また、オフショアの場合、コミュニケーションの質がだいぶ違います。
ペアプロ
ペアプロで知識とスキルを伝達しましょう。経験がない内部の人が外注から教えてもらってもいいんです!
プロジェクトルーム
専用のプロジェクトルームを作る事で、張り物や会話など、密度の濃いコミュニケーション空間が作れます。
発表の後は、細川さんのファシリテーションで、ゲームを使ってグループ討議。
関心のある話題を、ドットシール投票。
スペクトルマッピングで、各話題への各自のスペクトルを明らかに(発表は、永和システムアジャイル事業部の木下さん)。
印象に残ったのは、アジャイルへ懐疑派もいるなかで、部長や本部長といった組織の上司が、「チームを信用している」と思っていることがとても重要だ(そうでないとやる方が折れてしまう)と言ったのが印象的でした。